テキ通

第8回
クロスレビュー
ろじっくぱらだいす d.j.ペリカンマッチ 九十九式 総評

和田サン
和田サンだよ。最近は本当に沢山のサイトがあるよね。色々ありすぎてどこを読めばいいかわからない…そんなキミでも大・丈・夫。和田サンのレビューだよ。
なんだかんだ言って、このサイトが業界標準だよね。言い方は悪いけど、他のサイトを読むときの判断基準になると思う。和田サンの場合、「ブックマークするには最低でもろじぱらくらいのクオリティは欲しい」と考えてるよ。テキストサイトを多く読んでいる人なら、この感覚を分かってくれるんじゃないかな。確かに群を抜いて面白いわけじゃないけど、超大手になっても驕らずに、誠意ある更新をしているんだから、一目置かないわけにはいかないよ。 教科書通りという感じのコラム調だけど、ここまでしっかり書けてるのは珍しいね。内容的には結構ムリヤリなことを言ってるんだけど、文章の流れを違和感なく作る技術があるから、グイグイ読まされる。笑わされる率はかなり高いんじゃないかな。ただ、綺麗な文章で読みやすい反面、強烈な個性を感じにくいかも。本人もそれを自覚してか「筋肉」というキャラ付けをして、かなり力を入れた展開をしてるんだけど、そっちには余りそそられず。 「ブログ」って言葉が登場するより先に、ブログ的なことを実践していたサイトだね。一部の知識人が「blog始めました」なーんて言い出すずっと前から、社会や芸能、スポーツと、さまざまに言及してきたんだから、そのノウハウは相当なもの。時折発表する「ブログ論」的なテキストは、ユーモアを交えつつも「なるほど」と思わされるものばかりだよ。読みやすい文章と豊富な話題で楽しませてくれるから、幅広く支持されるのも納得。 さて、今回から第2期。全4回の大手サイトレビューを行っていくよ。一般に「大手」とされるサイトが、テキ通ではどんな得点になるんだろうね。それがハッキリすれば、これからはより一層興味深く、レビューの点数を比較できるんじゃないかな。もちろん、大手のあとは通常のサイトレビューに戻る予定。期待していてくれ!

聖紳士領域
日記系だのテキストサイトだの、いまだにやっている奴が沢山いるんだな。全くしょうがない奴らだよな。俺の名は聖紳士領域。つまらないサイトは、絶対に許さないよ。
些細な日常の出来事を大袈裟に言う、痛い系だ。「日想」は顔文字が気色悪いのが気になったくらいで、何の感慨も無いな。「戯言」はパソコン中古屋の話なんか、話題の特異性で楽しめたぜ。レビューや紹介文は「オススメ」「面白い」を連呼するばかりで、具体的な魅力がさっぱり伝わってこないんだが、「玩具」のSPACEWARPの紹介は、なかなか愛とこだわりを感じた。そもそも語り口に魅力を感じないので、全体的な印象は絶対に残念な感じだよ。 馬鹿らしい事を断定文で書き綴るスタイルで、日常日記も妄想ネタもこなしている。筋肉に拘るもやしっ子というキャラクターは、地味だがいい味出してるぜ。ネタのチョイスがマニアック過ぎず、話の流れも電波というほど意味不明じゃない。そのせいか分かりやすい個性は無いかもしれない。しかし、ただつらつらと書き連ねたような文章も、多少無理にでもオチをつけて、最後に一気に爆発させることができるセンス。絶対に特筆すべきものがあるよ。 推敲と校正が綿密で、文章を書き慣れている感じのする、小綺麗で読みやすいコラムだ。「エアギター大会」「ヒーローショー」などの実体験のレポートはなかなか興味深く読めるぜ。しかし日常的に取り上げている話題となると、目新しくも無ければディープでも無く、言い回しの面白さや切り口の斬新さ、情景描写の巧みさなども期待できない。無理にニュースなんか取り上げないで、日常日記や実体験のレポートを書いている方が、絶対に向いているよ。 「ペリカンマッチ」は、書き手の笑いのセンスだけでゴリ押しするサイト。対照的に「ろじぱら」「九十九式」は、書き手の読ませるセンスの無さを物珍しいネタに救われているサイトだと思うんだが、それが実際有名になって、面白いサイトを作るには?だのテキストサイト論だの言ってんのを見ていたら、なんだか絶対に切なくなっちまったよ。

キバヤシ
みんな聞いてくれ…テキストサイト界は今、ノストラダムスの予言通り滅亡の危機にある!だが!あきらめない!!それがオレたちにできる唯一の闘い方なんだよ!!
テキストサイトの多くは、自分がいかに面白いか、変わっているかを表現する傾向にあると思うんだが…このサイトに限って言えば、「自分が面白いと思うこと」ではなく「読者が面白がりそうなこと」を優先して書いているようだ! この広告量を見れば分かる通り、もはや仕事、商売なのだ!! 毎日律儀に更新し、メールにもマメに返信し…人生の貴重な時間をサイトに割いて、相応に報われているであろう貴重なサンプルだ! 内容はともかく、存在価値は大いにあると言えるだろう! この安定感!! 「村上春樹の文章から文学性や知性といったあらゆる価値のあるものを抜き取り、代わりにうんこをぎゅうぎゅうに詰めたような文章を書く」という管理人の目標は完全に達成されていると言っていい! 確かな地力を感じさせる落ち着いた文体で、しっかりバカバカしいことを書いている! 勢いや特徴ある言い回しなどのマネしやすい要素ではなく、純粋な「管理人の面白さ」を武器にしているサイトだ! お手本にしたいが…そう簡単に模倣できるものではないぞ! 数年前、ネットの知人をネタにした日記を注釈もなしに乱発し、一般読者を置き去りにして馴れ合いムード全開だったサイトだな! あの頃から成長がなければ3点を付けているところだが、最近は落ち着いて普通のテキストを書いているようだ!! 発想やネタ作りのセンスに飛び抜けたものがあるわけではないが、物事を整理してまとめる力がある! スラスラ読めて、管理人の主張がダイレクトに伝わるな! これで毎日更新に戻ればプラス1点なんだが…残念だな! 平凡な内容と異常な人気がアンバランスな「ろじぱら」だが…ブログ全盛のこのご時世において、その存在はテキストサイトの希望の光だと思う! 「毎日更新」が売り文句だった「九十九式」すら息切れする中、淡々と更新し続ける姿は立派だ! また、その2サイトに現状規模では劣るものの、「ペリカン」のアベレージの高さはダントツ! 総員必読だ!

惣流
まるでわたしみたいにセンスのいい文章を書く人がタイプよ。今回はわざわざレビューしてあげるんだから、死ぬ気で参考にしなさいよ!
何万という読み手を抱えるサイトらしく、徹底的に分かり易く、人を選ばないネタ作りを心掛けているのかしらね。総じて軽い書き口で、長年培った自身の所謂「非モテ」キャラを活かした日想ではクスリとさせられることも。客層を考えると狙い自体は間違ってはいないんだけど、全体的にどこか薄っぺらと言うか、ネタの練り込み不足を感じてしまうわ。それが毎日更新というポリシーを優先するがあまりに生まれた弊害だとするなら、何とも皮肉な話よね。 「真顔でうんこを眺めたい」と自身も宣言しているように、心の底からくだらないと言えることに対し、ものすごく大真面目に取り組んでいるわ。所々の言葉選びにしても、テンションの抑え方のバランス感覚にしても、ある一定以上のセンスの良さが成せる業で、誰にでも真似出来るようなものではないわね。「muscle」や「ゼノギアス」などに見受けられる、着眼点の奇抜さや優れた発想力も見過ごせない。最後の一行で落とすスタイルも、小気味よくまとまっていて○。 芸能から格闘技、映画に読書、政治やゴシップ、そして日常日記まで、とにかく題材の幅が無尽蔵。しかし守備範囲が広いかと言えばそうでもなく、「ちょっと興味を持っている」程度のことにまで手を出しているのか、その内容は当たり前のことを当たり前のように言っているだけ、というものがとても多い。対照的に、ハロプロに代表される「本当に好きなこと」に関する文章は、すごく楽しそうに書かれていて、そこには他にはない書き手の意思が見え、好感が持てるわ。 「どうでもいいことを真顔で書く」系の一つの完成形とも言える「d.j.ペリカンマッチ」は、アバウトがちょっと寒いのが玉に瑕。「ろじっくぱらだいす」は過去の戯言がそれなりに読み応えがあるだけに、最近のパワー不足はどうにかならないのかしら。顔文字やAAに頼っている暇があったら、少しでも面白い文章を書くということを思い出して欲しいわ。
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